どこで買える?
4つの入口を知る。
近所の酒屋で見かけないのは、人気がないからではない。流通の量と経路が、そもそも違うからだ。
クラフトサケは、探し方にコツがいる。多くの蔵は大量生産を前提としない小さな仕込みを重ね、要冷蔵の生酒が主流で、季節限定も多い。全国のスーパーに並べるための酒ではないのだ。
だから、経路ごとの性格を知っているかどうかで、目当ての一本に届く確率がはっきり変わる。どこを見れば出会えて、どこには最初から並ばないのか——その地図さえ持っていれば、探すこと自体が楽しくなる。
買える場所は、大きく4つ。
クラフトサケの入手経路は、性格の違う4つに整理できる。どれが優れているという話ではなく、探しているものによって正解が変わる。
ざっくり言えば、確実さと品揃えなら公式ショップ、手軽さとポイントなら通販モール、お得さならふるさと納税、そこでしか出会えない一杯なら店頭。以下、それぞれの使いどころを見ていく。
迷ったら、蔵に直接。
もっとも確実なのが、蔵が自分で運営するオンラインショップだ。新商品・限定ロットは真っ先にここへ出る。造り手が書いた原材料や仕込みの説明を読めるのも、公式ならではの価値だ。
saketto が収録28蔵の全銘柄を実際に検索して調べたところ、通販モールでの取扱いを確認できなかった蔵が10あった。福岡のLIBROM、仙台駅構内のFermenteria、佐渡のSAKENOVA BREWERY、長崎のでじま芳扇堂、埼玉のやまね酒造などがそうだ。「モールで見つからない=手に入らない」ではない。蔵の名前で公式サイトを開くのが近道になる。
出ている蔵は、かなり出ている。
楽天市場などのモールには、クラフトサケを積極的に扱う酒販店がいる。ポイントが使え、他の買いものとまとめられるのが利点だ。ただし取扱いの濃淡が激しい。稲とアガベやLAGOON BREWERY、haccobaのように多数の銘柄が並ぶ蔵がある一方、1本も出ていない蔵も珍しくない。
検索でつまずきやすいのが商品名の表記ゆれだ。蔵の公式名と販売店のつけ方が違うことがよくある。語順や英字・かなが入れ替わっていたり、醸造年度やロット番号が足されていたりする。銘柄名だけで出てこないときは、蔵の名前と組み合わせて検索し直す——これだけで見つかることが多い。
収録している各銘柄のページには、実際に購入できることを確認できたものだけ購入リンクを置いています。買えない銘柄にボタンは出しません。リンクが無い銘柄は、公式ショップか店頭を当たるのが確実です。
寄附という、もうひとつの買い方。
意外と知られていないのが、ふるさと納税の返礼品にクラフトサケが並んでいることだ。蔵のある自治体に寄附すると、返礼品として届く。新しい蔵ほど地域と結びついて立ち上がっているため、この経路と相性がいい。
saketto が公式に確認できた範囲では、福島県南相馬市小高区のhaccoba、岩手県紫波郡紫波町日詰の平六醸造、大阪府高槻市牧田町(富田団地内)の足立農醸、福岡県田川郡福智町の天郷醸造所、滋賀県長浜市元浜町のハッピー太郎醸造所をはじめ、計13蔵の返礼品の出品を確認できている。通販モールには出ていないのに、ふるさと納税でだけ買える銘柄もあるので、見落とさないでほしい。制度のきほんや申し込みの流れはふるさと納税の解説記事にまとめた。
運ばない、という選択。
クラフトサケには、意図的に流通させない酒がある。搾ったばかりの生、瓶内で発酵が進む活性タイプ——輸送や保管で品質が変わってしまうものは、醸造所併設の店やタップルームでしか出さない蔵がある。
たとえば東京駅のエキナカで醸す東京駅酒造場、大阪タカシマヤ地下の平和どぶろく難波醸造所と日本橋兜町の兜町醸造所、仙台駅構内の約3.4坪で、8Lタンクの超小仕込みを毎日重ねるFermenteria。神戸のHAKUTSURU SAKE CRAFTは、ナンバリングされたシリーズの多くが資料館限定で、一部の特別銘柄だけが公式オンラインに出る。「買えない」のではなく、「その場所へ行って出会う酒」として設計されている。旅の目的地にする価値がある。
買える場所より、買える時期。
チャネルを押さえても、まだ半分だ。クラフトサケには「いつ出るか」という軸がある。ここを知らないと、目当ての銘柄をいつまでも追いかけることになる。
多くの蔵は年に一度だけ仕込む銘柄を持っている。副原料が農産物である以上、原料が採れる時期にしか造れないからだ。苺の酒は春、ぶどうや梨の酒は秋、柑橘の酒は冬——旬を外すと、次は一年後になる。「売り切れ」の表示は、その年の分が終わったという意味であることが多い。
そして発売の告知は、たいてい蔵のSNSが最速だ。オンラインショップに並ぶ前に予告が出て、公開と同時に売り切れる銘柄もある。人気の蔵ほどこの傾向が強い。気になる蔵ができたら、まずSNSと入荷通知の登録——これが遠回りに見えていちばん近い。
逆に、通年で手に入る定番銘柄もある。蔵が年間を通して仕込む看板の一本は、比較的いつでも買える。まずは定番で蔵の味を知り、限定品はタイミングが合ったときに——という付き合い方なら、追いかける気疲れがない。
くわしい一軒を見つける。
オンラインの話が続いたが、街の酒販店という入口を忘れてはいけない。むしろ慣れてくるほど、この経路の価値がわかってくる。
クラフトサケを扱うのは、たいてい地酒やクラフトビールに強い個人経営の酒屋だ。大型店やスーパーではまず見かけない。こうした店は蔵と直接つながっていることが多く、限定ロットが少量だけ入ることがある。オンラインに出る前に店頭で売り切れる銘柄も珍しくない。
実店舗の最大の利点は相談できることだ。「ビールが好きなんですが」「甘くないものを」——そう伝えれば、棚から一本選んでくれる。ラベルの情報だけでは分からない、開けたときの印象や飲み頃を教えてもらえる。好みを覚えてもらえれば、入荷時に声をかけてもらえることもある。
探し方は単純で、蔵の公式サイトの「取扱店」ページを見るのが確実だ。蔵によっては取扱店の一覧を公開している。自分の生活圏に一軒あるかどうかで、クラフトサケとの付き合い方はかなり変わる。
もうひとつの入口が飲食店だ。クラフトサケを置く居酒屋やバー、レストランが少しずつ増えている。買う前に飲んで確かめられるのは大きな利点で、しかも一杯単位なら気軽に何種類も試せる。店で気に入った銘柄を、あとから瓶で買う——この順番なら失敗がない。醸造所に併設された店なら、その場でしか出さない搾りたてに出会えることもある。
イベントという手もある。クラフトサケの造り手が集まる催しが各地で開かれており、複数の蔵を一度に飲み比べられる。造り手本人が注いでくれることも多く、その場で疑問を聞ける。「どの蔵から入ればいいか分からない」という段階の人にとって、これ以上効率のいい入口はない。開催情報は各蔵や協会の告知で流れる。
結局のところ、探し方に唯一の正解はない。大事なのは、見つからなかったときに「売っていない」と結論しないことだ。経路を変えれば、たいていの酒はどこかで買える。
177銘柄を、全部検索してみた。
「クラフトサケは手に入りにくい」とよく言われる。では実際どれくらいなのか。saketto では収録している177銘柄すべてを楽天市場とYahoo!ショッピングで実際に検索し、購入できる出品があるかを一件ずつ確認している。銘柄名だけでなく蔵名でも検索し、その蔵の出品を一覧して突き合わせる方法をとっている。
結果は、購入リンクを出せたのが68銘柄。全体の約3割である。残る109銘柄については、確認した時点で取扱いが見つからなかった。収録の半分以上は、通販モールでは買えない——これがこのジャンルの現実だ。
蔵の単位で見ると、さらにはっきりする。28蔵のうち10蔵は、通販モールでの取扱いを一件も確認できなかった。自社ECと店頭だけで売る方針の蔵、要冷蔵の生酒しか造っていない蔵、そもそも醸造所併設の店でしか出さない蔵。買えないのではなく、売り方がそういう設計になっているのだ。
だからこそ、この記事で挙げた入口を使い分ける意味がある。モールで見つからないことは、その酒が手に入らないことを意味しない。公式ショップへ回り、ふるさと納税を調べ、取扱店を探す。経路を変えれば道は開ける。
各銘柄ページには、実際に購入できる出品を確認できたものだけ購入リンクを置いています。「たぶん買えるだろう」で表示することはしません。リンクのない銘柄は、公式ショップか店頭を当たってください。調査は定期的にやり直しており、出品が復活すればリンクも戻ります。
要冷蔵かどうかを、必ず確認する。
生タイプはクール便が前提です。常温便しか選べない販売ページでは、火入れ版かどうかを確かめてください。届いたらすぐ冷蔵庫へ。夏場の再配達は品質にひびきます。
「売り切れ」は終わりではない。
少量生産なので、公式ショップが品切れでも次のロットが仕込まれていることがよくあります。季節限定は翌年また登場します。入荷通知の登録や、蔵のSNSを追うのがいちばん早い方法です。
見つけたときが、買いどき。
同じ銘柄でも醸造年度やロットで中身が変わります。「次でいいか」と思った一本が、次はもう別の設計になっていることも。気になったら、その場で確保するのが後悔しないコツです。
買い方がわかったら、あとは選ぶだけ。タイプ別のおすすめや、贈りものとしての選び方もあわせてどうぞ。
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